「緊急事態宣言」が延長される中、八王子市でも高齢者へのワクチン接種が始まり、一歩ずつではありますが、終息に向けた「期待感」が社会に生まれつつあると感じます。一方、オリンピックの開催については、感染状況や医療現場の問題を考えると賛否あるようですが、我々経済団体としましては、「そのことが地域経済にとってプラスに働くのかマイナスに働くのか」という視点は常に持ち続けたいと考えます。
商工会議所の使命は「地域商工業の発展」です。社会経済の状況は日々刻々変化しています。それに応じて国や行政は様々な政策や事業を展開します。そうした動きに対して、我々は迅速に情報をキャッチし、商工会議所の使命に基づいた「正しい判断」をしていかなければなりません。「正しい判断」を行っていくためには、多方面から情報を集め、選別し、総合的に物事を判断する必要があると思っています。
今、世の中は多くの「情報」で溢れています。テレビや新聞、インターネットなどで情報を得るのも一つの方法です。しかしそれだけに依存し過ぎると「情報」に偏りが生じる危険があります。「自分にとって都合の良い(耳障りの良い)情報は見るが、それ以外の情報は遮断する」ということにもなりかねません。従って、私は極力色々な立場の方に直接お話を伺い、自分の目と耳で感じ取った自身の「感覚」というものを大切にしています。会頭就任時、真っ先に行った120名を超える役員議員の事業所訪問もその一環です。工場を訪問した際に感じた「油の匂い」は、正にものづくりの現場を実感するもので、実際に伺わなければ分からないことでした。
会頭になって以来、会議所に来所いただく皆様から情報をいただく機会はありますが、それでも私は時間が許す限り、電話だけではなく直接ご本人とお話をしたり、現場を訪れるようにしています。時間をかけることで、より新鮮な情報、より多くの情報を得ることができます。そして情報を得るだけではなく、我々も発信し、共有することを心掛けています。そうした活動の中で得た情報を元に、会議所としての方針を立てたり、決断を行っていくことになります。
私は今、たまたま会頭職を仰せつかっていますが、明治27年の設立以来、127年に渡り受け継がれてきた地域経済団体の第19代目の会頭として組織をお預かりし、任期中は正しい運営に専念し、次の後継者に引き継いでいくことが大きな仕事です。組織の代表として、時期に適った「正しい判断」を行っていくために、今後も積極的な情報収集に努めて参りたいと思います(了)