
令和6年度も残すところ一月半となりました。年度内の大きな事業としましては、中心市街地に江戸情緒の景観を創出する「桑都千景プロジェクト」のみとなりました。甲州街道沿いの老舗店舗を「のれん」で彩り、花街エリアを行燈やライトアップで装飾するプロジェクトの他、2月22日~3月9日にかけて、八王子の伝統文化をテーマとした市民向けのイベントを桑都テラスを中心に展開します。特に3月9日のジェイコムホールでは、「新内節」を披露いたします。「新内節」は浄瑠璃の一流派として、哀調ある節にのせて哀しい女性の人生を歌い上げるのが特徴と言われておりますが、今回は家元に多大なるご協力をいただき、八王子の歴史と文化、伝統芸能(木遣りやお囃子、芸妓衆など)をストーリーに折り込んだ物語を創作いただきました。会員や市民の皆様は無料でご覧いただけますので、準備でき次第、改めてご案内させていただきます。
さて、話は変わりますが、石破首相は「2020年代に最低賃金1500円まで引き上げる」ことを表明しております。また昨今では大企業の大幅な賃上げに関するニュースが後を絶ちません。大企業の賃上げが進めば進むほど中小企業との賃金格差は増加し、人材不足に一層の拍車がかかるのではと懸念されます。賃上げを行うには付加価値の拡大が必要であり、生産性向上の努力と共に、適正な価格転嫁を通じて賃上げ原資が確保できるかが鍵となりますが、残り5年の間に、これほどの急激な賃上げを全国的に進めていくことは、市内の小規模事業者の声を伺っていると、非常に厳しいハードルであると言わざるをえません。特に飲食やサービス業などBtoC取引に関わる企業にとっては、事業存続に関わる問題であると考えます。本当に実行に移すのであれば、国は十分な手当て、施策を準備いただきたいところです。
現在日本商工会議所では、取引先との共存共栄関係を強化し、適正な取引価格の実現や、下請代金の支払条件改善などを目的とする「パートナーシップ構築宣言」を推進しております。コスト転嫁率50%という道半ばにある中小企業の価格転嫁を一段と進めるため、1月16日、経済3団体による共同要請を行いました。要請を通じて、BtoC取引では消費者に対して「良いモノやサービスには値が付く」という価値観を浸透させるなど、価格転嫁を社会全体で受け入れる商習慣の確立に向け、官民挙げて取り組んでいるところです。
当会議所といたしましても、会員企業の付加価値向上のお役に立てるよう、そして継続的な賃上げによって地域経済の好循環が生まれるよう、今後も上部団体や関係機関一体となって取り組んで参ります。